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2015/1/28

企業情報

DMG森精機―提携先の独大手買収へ―

この記事の要約

工作機械大手のDMG森精機(以下、森精機)は21日(ドイツ時間)、資本・業務提携先の独DMG Mori Seiki(旧ギルデマイスター)に対する株式公開買い付け(TOB)計画を発表した。DMG Mori Seikiの議決 […]

工作機械大手のDMG森精機(以下、森精機)は21日(ドイツ時間)、資本・業務提携先の独DMG Mori Seiki(旧ギルデマイスター)に対する株式公開買い付け(TOB)計画を発表した。DMG Mori Seikiの議決権比率を現在の24.3%から50%超に引き上げ、両社の協力関係をこれまで以上に高める考えだ。両社は森精機による買収の実現後をにらんで同日に協定を結んでおり、同TOBはDMG Mori Seiki経営陣の支持を受けている。

DMG Mori Seikiの普通株を1株当たり27.5ユーロで買い取る。これは21日の終値を7.5%、過去3カ月間の加重平均株価を28.6%上回る水準で、同社の価値を22億ユーロとしたことになる。買収総額は50%プラス1株を取得した場合で5億5,600万ユーロ(751億円)、100%を取得した場合で16億4,000万ユーロ(2,214億円)に達する。TOB資金は銀行融資で賄う予定。

森精機のTOBについてDMG Mori Seikiのリューディガー・カピッツァ社長はロイター通信に「これ以上の提案はない」と述べ、TOBの終了後は森精機の出資比率が75%を超えるとの予想を示した。同社長によると、森精機は買収により、連結売上高を約35億ユーロ、社員数を1万1,600人に拡大する。

両社は2009年に戦略提携。製造、調達、製品開発、販売、サービスで協力するとともに、株式をそれぞれ5%持ち合うことを取り決めた。ギルデマイスターは資金力が弱く、その後は同社に対する森精機の出資比率だけが高まったため、ギルデマイスターの社内には一時、森精機に買収されることへの不安が強まったが、事業提携の成果で業績が大きく改善しており、森精機の買収に対する従業員の抵抗感は薄れたもようだ。両社は13年10月、「DMG Mori」という統一ブランドに合わせる形でそれぞれの社名を現社名に変更。森精機は買収実現に向けて大きく前進した。

森精機は今回のTOBについて、「(DMG Mori Seikiの)上場廃止を意図するものではありません」との立場を明らかにした。ただ、TOBに応じる株主が多いとDMG Mori Seikiの浮動株比率が低下し、フランクフルト証券取引所のMDAX(DAXに次ぐドイツの株価指数)から外される可能性がある。MDAXは浮動株比率10%以上を採用基準としている。