連邦カルテル庁は17日、独小売大手のエデカが競合テンゲルマンの食品スーパー子会社カイザース・テンゲルマンを買収する計画に疑義を表明した。一部の地域で市場の寡占が強まるほか、商品調達面でも中堅スーパーとメーカーに不当なしわ寄せが出ると懸念している。エデカとテンゲルマンの取引は計画を変更しないと成立しない見通しとなった。
テンゲルマンは昨年10月、カイザースを独食品スーパー最大手のエデカに売却する計画を明らかにした。カイザースは事業規模が小さく赤字が続いており、単独で生き残るのは不可能と判断したためだ。
ドイツの食品スーパー市場では寡占が進んでおり、エデカ、レーベ、アルディ、シュバルツ・グループ(リドル)、カウフランドの5大勢力が合わせて85%のシェアを持つ。このため、今回の計画がカルテル庁に承認されない懸念は当初からあった。
カイザースは全国レベルでみると市場シェアが小さいものの、一部地域では存在感が大きい。カルテル庁によると、買収計画を認めると特にベルリン、ミュンヘンおよびノルトライン・ヴェストファーレン州の一部でエデカのシェアが10%以上、拡大し、公正な市場競争が阻害される懸念がある。
同庁はこのほか、◇エデカの調達交渉力が高まり、交渉先であるメーカーの多くは著しく不利な立場に追い込まれる◇カイザースはこれまで、進出先地域の中堅スーパーと調達提携してきたが、エデカに買収されるとこれら中堅スーパーは調達提携先がなくなり、競争力が弱まる――ことも問題視している。