ドイツ政府は11日の閣議で、廃家電法(電気・電子機器法=ElektroG=)改正案を了承した。法改正は欧州連合(EU)指令の改正を受け措置で、家電量販店とインターネット販売事業者に廃家電の無料引き取りを義務づけてリサイクリング比率を引き上げることが狙い。法案は連邦議会(下院)と州の代表で構成される連邦参議院(上院)の可決を経て来年末に施行される見通しだ。
現行法では廃家電をメーカーが自己負担で回収、リサイクリング、廃棄することが義務づけられているものの、消費者は廃家電を市町村のごみ収集場までみずから持ち込まなければならない。料金はかからないものの、運搬の手間を嫌って家庭用一般ごみにまぜて捨てる人が少なくない。また、違法に国外に輸出されるケースも多く、家電に含まれる有害物質による環境汚染や資源の無駄遣いにつながっている。
EUでは域内の製造業者に廃家電の回収・リサイクルを義務づけた「使用済み電子・電気製品に関する指令(WEEE指令)」の改正ルールが2012年8月に発効した。加盟国は19年以降、国内で販売された電子・電気製品の総重量に対して年間65%の回収を義務づけられる。
廃家電改正法案はこれを受けたもので、消費者が家電を買い替える場合、売り場面積400平方メートル以上の家電販売店とネット販売事業者に廃家電を無料で引き取ることを義務づける。製品の一辺の長さが25センチメートル以下の廃家電であれば、消費者が新製品を購入しなくてもこれらの事業者は無料で引き取らなければならない。ネット販売事業者は新製品を配達した際に廃家電を引き取ることになる。
ドイツの廃家電回収量は住民1人当たり年8.8キログラムで、それ以外は一般ごみとして投棄されたり違法に輸出、あるいは家庭の物置などに保管されている。独二次資源再生・廃棄物処理事業者連盟(BVSE)によると、適切に処理されないこうした廃家電の総量は推定で年50万トンに上る。