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2015/3/18

経済産業情報

エジプト政府からシーメンスが大型受注、最大100億ユーロ

この記事の要約

電機大手の独シーメンスは14日、エジプト政府からコンバインドサイクル(CC)発電所と風力発電設備を正式受注した。同国は産業強化に向けて電力インフラの拡充を目指しており、シーメンスは同日、電力関係でさらに2件の受注を獲得す […]

電機大手の独シーメンスは14日、エジプト政府からコンバインドサイクル(CC)発電所と風力発電設備を正式受注した。同国は産業強化に向けて電力インフラの拡充を目指しており、シーメンスは同日、電力関係でさらに2件の受注を獲得することでも基本合意。これを含めると受注総額は100億ユーロに達する。受注契約はエジプトに外資の投資を促すために同政府がシナイ半島南部のシャルムエルシェイクで開いた投資家会議で締結された。

シーメンスは首都カイロから南に120キロ離れたナイル川沿いの都市ベニ・スエフにCC発電所を建設する。発電能力は4.4ギガワット(GW)。風力発電設備では計2GW分を受注しており、両受注の総額は40億ユーロに上る。

風力発電用のブレードは現地に工場を設置して製造する。同工場の雇用規模は最大1,000人を見込む。

基本合意した受注はCC発電所6.6GWと変電所10カ所で、取引規模は計60億ユーロに上る。

エジプトの電力事情が悪く、停電が日常的に起きている。政府は発電、送電インフラを拡充することでこうした事態が起こらないようにする考え。シーメンスが受注したCC発電所(基本合意を含む)が完成すると、同国の発電能力は3分の1拡大するという。

政府はエネルギーの安定供給を図るため、英石油メジャーBPと独同業Dea(RWEの元子会社で現在はロシア系投資会社レターワンの傘下企業)からなるコンソーシアムに天然ガス田の開発を委ねることでも合意した。同コンソーシアムはナイルデルタ西部のガス田(埋蔵量1,350億立方メートル)を開発(WNDプロジェクト)。2017年から採掘を開始する。出資比率はBPが65%、Deaが35%で、日産量は3,240万立法メートルとなる見通し。これは同国の現在の産出量の25%に相当するという。

エジプト政府は今後5~7年をめどに、カイロ東部に面積700キロ平方メートルの新しい行政・経済都市を建設することも計画している。カイロでは人口の過密化に伴い交通などの都市機能が悪化しており、これを解消する狙いだ。ただ、投資コストが最低450億ユーロに上るうえ、資金のメドも立っていないため、実現できるかは不透明だ。