ドイツ国内で計画あるいは建設中の大型発電所の半分以上は実現しない恐れがある――。独エネルギー水道産業連合会(BDEW)が13日、明らかにしたもので、現状を放置すると新しい発電所が新設されず、消費電力を自国で賄えなくなる恐れがあると警鐘を鳴らした。
同国で計画作成から試運転・稼働開始段階にある大型発電所(発電容量20メガワット=MW=以上)プログラムは現在74件で、発電容量は計3万3,486MWに上る。BDEWによると、74件のうち39件(割合で53%)でプロジェクトが完成しない恐れがある。同件数は13年が22件、14年が32件と年々、増加している。
背景には原子力発電を廃止して再生可能エネルギーの利用を大幅に拡大する政府の「エネルギー転換政策」がある。同政策では再可エネ電力の供給が優先されているため、火力など在来型発電の採算が悪化。これがプロジェクトに影を落としている。BDEWのヒルデガルト・ミュラー会長は発電プロジェクト投資のリスクが大きくなっていることが問題だとして、政府に対応を促した。
採算悪化を受けて既存発電所の稼働を停止する動きが強まっていることは、電力事情の悪化に拍車をかける見通しで、原発が全廃される2022年以降は、火力など24時間いつでも発電可能な施設が計16.7ギガワット(容量)に減少するという。