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2015/4/1

ゲシェフトフューラーの豆知識

体外授精の女性、解雇保護規定はどの時点で発効か

この記事の要約

妊娠中および出産後4カ月以内の被用者を解雇することは原則としてできない。これは母性保護法(MuSchG)9条に記された決まりである。では、体外授精した女性の場合、どの時点で同法の解雇保護規定が適用されるのだろうか。この問 […]

妊娠中および出産後4カ月以内の被用者を解雇することは原則としてできない。これは母性保護法(MuSchG)9条に記された決まりである。では、体外授精した女性の場合、どの時点で同法の解雇保護規定が適用されるのだろうか。この問題をめぐる係争で、最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が3月26日に判決(訴訟番号:2 AZR 237/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は保険販売会社の女性社員が雇用主を相手取って起こしたもの。同社員は不妊症に何年も悩んでいた。2013年1月中旬、体外受精を行いたいとの考えを雇用主に伝え、同23日に胚(細胞分裂を開始した受精卵)の移植手術を受けたところ、31日に雇用主から解雇予告期間付の通常解雇を言い渡された。妊娠は2月7日に確認され、その事実を13日に雇用主に伝えた。

原告女性は、解雇はMuSchG9条に違反するとしてその取り消しを求める訴訟を起こした。これに対し被告雇用主は、妊娠は着床(胚が子宮壁の一定部位に定着し発育準備を始める現象)をもって始まることを根拠に、原告に解雇を通告した1月31日時点では妊娠が始まっていなかった(着床していなかった)と指摘。原告にMuSchG9条の解雇保護規定は適用されないと主張した。

BAGの裁判官は解雇は不当との判決を示した。判決理由で裁判官は、体外受精の場合、MuSchG9条の解雇保護規定が発効するのは胚移植の時点であり、着床の時点ではないとの判断を示した。また、原告に対する解雇は男女差別を禁止した一般平等待遇法(AGG)にも抵触すると言い渡した。