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2015/4/15

ゲシェフトフューラーの豆知識

社員の画像、公開承認の取り消しは可能か

この記事の要約

社員の写真や動画を本人の承諾なしに公表することは肖像権の侵害に当たる。これは芸術著作権法(KunstUrhG)22条に基づくルールである。では、社員はそうした画像の公開に特に条件を付けることなく同意した場合、退職後などに […]

社員の写真や動画を本人の承諾なしに公表することは肖像権の侵害に当たる。これは芸術著作権法(KunstUrhG)22条に基づくルールである。では、社員はそうした画像の公開に特に条件を付けることなく同意した場合、退職後などにその取り消しを要求することができるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2月の判決(訴訟番号: 8 AZR 1011/13)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は空調機器メーカーの元社員が同社を相手取って起こしたもの。同社は2008年秋に広告用の動画を撮影した。その際、動画に登場する社員には事前に文書で同意を取り付けており、原告社員も同意した。動画はホームページで公開された。同社は公開についても同意を取っていた。

同社員は11年9月に退職。11月になって同意を取り消すとともに、10日以内に公開を中止することを要求した。これに対し、同社が翌12年1月末まで公開したいと回答したところ、公開差し止めと慰謝料の支払いを求めて提訴した。

2審のラインラント・ファルツ州労働裁判所は原告敗訴を言い渡し、最終審のBAGも2審判決を支持した。判決理由で裁判官は、特に条件を付けずに画像の公開に同意した場合でも同意を事後的に取り消すことは可能だが、取り消すためにはそれなりの理由が必要だと指摘。原告が主張する「自己情報コントロール権」だけでは理由として不十分だとの判断を示した。

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