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2015/4/22

経済産業情報

I4.0プロジェクト組織に規格団体VDIが参加

この記事の要約

工業規格の作成団体であるドイツ技術者協会(VDI)がインダストリー4.0(I4.0)構想の実現に向けたプロジェクト組織「プラットフォーム・インダストリー4.0」に参画する。ジグマール・ガブリエル経済相から要請を受けたため […]

工業規格の作成団体であるドイツ技術者協会(VDI)がインダストリー4.0(I4.0)構想の実現に向けたプロジェクト組織「プラットフォーム・インダストリー4.0」に参画する。ジグマール・ガブリエル経済相から要請を受けたためで、同組織内に事務所を設置。I4.0関連の規格作成などに取り組む。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が16日付で報じた。

プラットフォーム・インダストリー4.0は政府のI4.0構想の具体化・実現に向けて2013年4月に立ち上げられた。これまでは独情報通信業界連盟(Bitkom)とドイツ機械工業連盟(VDMA)、独電気・電子工業会(ZVEI)の3業界団体が担ってきたが、産業界だけでは同構想の実現に必要な幅広い課題に対応できないことから14日に、官学労も参加するすそ野の広い組織へと発展解消した。今後、作業部会を設置し、規格・標準化、研究、セキュリティ、法制、労働、職業教育・研修といったテーマについて検討を進め、11月に政府が主催する「ITサミット」で成果を公表する予定だ。

VDIは研究開発の支援を手がける傘下企業VDIテヒノロギーツェントルムを通してプラットフォーム・インダストリー4.0内に事務所を設置。VDIテヒノロギーツェントルムは社会の変化に伴う課題のソリューションを提供するサービス企業IFOKと共同で業務を展開する。事務所はベルリンに開設。まずは5人体制でスタートする。

VDIのラルフ・アッペル専務理事はプラットフォーム・インダストリー4.0の作業部会が取り組むテーマのうち少なくとも「I4.0の参照アーキテクチャー(モデル)」「規格・標準化」「労働環境への影響」「技術」の4分野に関与する考えを示した。また、企業がI4.0のパイロットプロジェクトを実施しないと、規格を策定したり労働環境への影響を評価することができないとして、そうしたプロジェクトが早急に行われなければならないとの認識を示した。

一方、ドイツ工業規格(DIN)の作成機関であるドイツ規格協会のトルステン・バーケ理事長はI4.0には200~300件の規格が必要だとの見通しを示したうえで、そうした規格の国際的な受容を高めていく必要性を指摘。プラットフォーム・インダストリー4.0のほか、モノのインターネット(IoT)の業界団体である米「産業インターネット・コンソーシアム(IIC)」や中国の規格機関とも協働していく考えを明らかにした。