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2015/4/22

経済産業情報

VW監査役会がヴィンターコルン社長支持を表明

この記事の要約

欧州自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)は17日、監査役会の幹部会はヴィンターコルン社長を「最善の社長」として高く評価しているとの声明を発表した。VWではピエヒ監査役会長がヴィンターコルン社長を公然と批判し、両者の確執 […]

欧州自動車最大手フォルクスワーゲン(VW)は17日、監査役会の幹部会はヴィンターコルン社長を「最善の社長」として高く評価しているとの声明を発表した。VWではピエヒ監査役会長がヴィンターコルン社長を公然と批判し、両者の確執が鮮明化。監査役の一部役員で構成される幹部会が16日に臨時開催され、対応を検討していた。幹部会がヴィンターコルン社長支持を明確に打ち出したことで、同社内で絶大な権力を持つピエヒ会長は大きな痛手を負った格好だ。

ピエヒ会長は10日公開された週刊誌『シュピーゲル』のインタビュー記事で「ヴィンターコルン社長に距離を置いている」と発言。その理由として◇米国事業の不振を解消できないでいる◇同社長が統括するVWブランド乗用車事業の利益率が低迷している◇以前から社内で議論している低価格車の導入をいつまでたっても決定しない――を挙げた。

ピエヒ家は親族であるポルシェ家とともに、持ち株会社ポルシェ・アウトモビルを通してVWの過半数株を握っている。このため、ピエヒ会長の影響力は大きく、2006年には同会長の意向でピシェツリーダー前社長が実質的に解任された。

ピエヒ会長から公然と批判されたヴィンターコルン社長も前社長と同じ運命をたどる懸念があった。だが、インタビュー記事の公開後、監査役(計20人)の半数を占める従業員代表と、第2位株主であるVWの地元ザクセン州政府がヴィンターコルン社長への支持を表明。ピエヒ会長のいとこであるヴォルフガング・ポルシェ氏(VWの大株主)も「ピエヒ氏の発言は個人的な見解に過ぎない」と述べ、同会長に距離を置いた。

ロイター通信によると、16日の幹部会では出席者6人のうち5人がヴィンターコルン社長を支持したといい、幹部会は16年末で切れる同社長の任期延長を監査役会に提案することを決定した。

VWはヴィンターコルン氏が社長になってから業績が急速に拡大。今年はトヨタ自動車を抜いて販売台数で世界トップに立つと目されている。VWブランド乗用車の利益率低迷など問題はあるものの、現時点での社長解任には妥当性が欠ける。

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