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2015/6/3

経済産業情報

チーズの穴、‘犯人’は干し草の微粒子

この記事の要約

エメンターラーやアッペンツェラーといったスイスの穴あきチーズの穴が小さくなったり、数が減ったりする現象がここ10年以上、大きな問題となっている。穴のないエメンターラーは糸を引かない納豆のようなもので、あってはならないため […]

エメンターラーやアッペンツェラーといったスイスの穴あきチーズの穴が小さくなったり、数が減ったりする現象がここ10年以上、大きな問題となっている。穴のないエメンターラーは糸を引かない納豆のようなもので、あってはならないためだが、同国の食品科学研究所アグロスコープと材料科学研究所EMPAは5月28日、原因不明とされていたこの「穴の消滅(Loecherschwund)」問題を解明したと発表した。

エメンターラーの穴は製造の際に投入されるプロピオニバクテリウムという菌が二酸化炭素(CO2)を排出して作り出す。では、穴の消滅・減少はこの菌に問題があったということだろうか。

「そうではない」というのがアグロスコープとEMPAの結論だ。両研究機関は干し草の微粒子が‘犯人’ではないかと目星を付けてチーズの熟成を130日間、コンピュータートモグラフィーを使って観察。干し草微粒子の量が多ければ多いほど穴が増え、大きさも大きくなることを突き止めた。

チーズの穴に近年、異変が起きたのは農家の搾乳作業が近代化したためだ。雑菌による汚染を防ぐために衛生管理の徹底した搾乳機が普及したことで、それまで自然に牛乳に紛れ込んでいた干し草粒子の量が大きく減少。穴の消滅現象を引き起こした。