米環境保護局(EPA)は6日、ディーゼル車の排ガスを不正操作していた独フォルクスワーゲン(VW)が提示したリコール(無料の回収・修理)計画は不十分で受理できないとの立場を明らかにした。VWはこれまで、米国のリコール計画をめぐるEPAとの協議が順調に進んでいるとしてきたが、EPAによって明確に否定された格好だ。
VWのリコール計画は欧州連合(EU)では昨年12月に承認された。修理はエンジン制御用ソフトウエアの入れ替えと、10ユーロ程度の部品を追加で取り付けるだけで済む。
だが、米国では窒素酸化物(NOx)の排出規制がEUよりも厳しいことから、修理方法のハードルも高く、これがネックとなりEPAの承認が下りないもようだ。
VWグループでは「EA189」というディーゼルエンジンの搭載車に違法ソフトがインストールされていたことが米当局の発表で昨年9月に発覚した。米国ではVW、アウディ、ポルシェの計3ブランドの約60万台が該当している。
米司法省はこの問題に絡んで4日、VWに対する民事訴訟をEPAに代わって起こしたと発表した。不正ソフトを用いてディーゼル車の排ガス値を操作していたことが米国の大気浄化法に抵触するためと説明している。違法性が確認された場合、VWは最大で約800億ドル規模の支払いを命じられる恐れがある。