IPOの総額、昨年は07年以来の規模に

監査法人大手プライス・ウォーターハウス・クーパース(PwC)によると、ドイツ市場で昨年、新規株式公開(IPO)を実施した企業15社が調達した市場資金は約70億ユーロで、2007年以来の大きな規模に達した。10億ユーロ超の大型IPOが3件(樹脂大手コベストロ、銀行大手ドイチェ・ファンドブリーブバンク、売買仲介ポータルのスカウト24)あったことが大きい。IPOは第4四半期(10~12月)に集中しており、同期は件数で7件、総額で約40億ユーロに上った。

昨年はギリシャの財政破たん懸念、中国経済の減速、米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどがあり、市場を取り巻く環境は良好でなかった。このため、株式公開価格が仮条件価格帯の上から3分の1以内に収まったのは15件中3件にとどまった。また、年末時点の株価が公開価格を上回ったのは同6件に過ぎなかった。

一方、上場企業の増資総額は75億ユーロで、前年の180億ユーロから大幅に減少した。比較対象の14年はドイツ銀行の巨額増資(85億ユーロ)で水準が押し上げられていたという事情がある。ただ、それを除いても増資規模は減少しており、PwCは、低金利を受けて事業資金を増資以外の手段で調達する傾向が強まっているとの見方を示した。増資件数は12年の118件を直近のピークに減少が続いており15年は89件にとどまった。

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