ランクセス―買収を検討―

化学大手の独ランクセス(ケルン)が買収を検討している。事業の多角化を推し進め、景気変動の影響を緩和できる経営体制を構築することが狙い。合成ゴム事業の合弁化で得られる資金を買収に投じる意向だ。マティアス・ツァッハルト社長が『フランクフルター・アルゲマイネ』紙に明らかにした。

同社は合成ゴムの世界最大手メーカー。合成ゴム業界が過剰な生産能力を抱えることから経営不振に陥り、従業員の削減などを余儀なくされた。

ランクセスは事態の打開に向けて昨年9月、合成ゴム事業をサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコとの合弁に切り替える計画を発表した。サウジアラムコは原油採掘から合成ゴムの原料であるブタジエンの製造までを手がけていることから、原料を安定的に確保できるメリットがある。

ランクセスは同合弁化に伴いサウジアラムコから約12億ユーロを取得。そのうち4億ユーロを将来の成長に向けた投資に充てる。買収は基礎化学品に付加価値をつけた機能化学品、化学中間製品、軽量素材などの高機能材料など成長が見込める分野で検討している。

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