製鉄所の排ガスから化学品を生産へ

製鉄所の排ガスから有用な化学品を生産する技術の開発に、鉄鋼大手の独ティッセンクルップなどが取り組んでいる。ラインホルト・アハツ取締役(技術担当)への取材などをもとに15日付『フランクフルター・アルゲマイネ』紙が報じたところによると、デュースブルクにある同社の製鉄所の隣接地で近く、実用化に向けた試験を行う予定だ。実現すれば二酸化炭素(CO2)などを大気中にほとんど放出せずに製鉄を行うことができるようになる。

製鉄で発生する排ガスの中には一酸化炭素(CO)・CO2の形で炭素が含まれる。窒素や水素も有用な含有成分だ。

製鉄所では現在、排ガスを燃やして電力と熱を獲得しているものの、最終的には有害物質が大気中に放出される。

ティッセンクルップはこうした状況を改める目的で研究機関やバイエル(化学)、BASF(同)、シーメンス(電機)といったメーカーと協働。排ガスをメタノールやアンモニアといった有用な物質に転換するプロジェクト「カーボン2ケム(Carbon2Chem)」を推進している。

有用な化学物質に転換するためには、水素が大量に必要なため、外部からも供給することになる。同プロジェクトでは水素製造コストを圧縮するため、ティッセンクルップの産業向けソリューション部門が開発した高効率の電解技術を投入する。

プロジェクトではもっぱら再生可能エネルギー由来の電力で製造し、CO2排出を回避する。また、電力不足で電力価格が高騰した場合は、排ガスを製鉄所での発電用に振り向け、電力需給の安定に寄与するようにする。

上部へスクロール