特殊化学大手の独エボニック(エッセン)は21日、インプラントのスタートアップ企業SYNOSTEに資本参加すると発表した。出資額は百万ユーロのケタ台で、出資比率は50%未満。エボニックは医療器具分野を成長事業と位置づけており、SYNOSTEの将来性を評価して出資した。
SYNOSTEはフィンランドのアールト大学からのスピンオフとして2012年に設立された企業で、ヘルシンキとデュッセルドルフに事業拠点を置く。従業員数は9人。
同社は左右の足の長さを矯正するのに用いる樹脂製のインプラントを開発している。脚長差の矯正ではこれまで、手術で骨を切りその部位に出来た仮骨と呼ばれる柔らかい骨を創外固定器により数カ月かけて徐々に引っ張っていくという方法が採られてきた。だが、この方法には患者の負担が大きいという問題がある。
SYNOSTEのインプラントを用いると、侵襲、痛み、リスクを従来の治療法よりも小さくすることができるという。現在は臨床試験を実施中で、順調にいけば「Nitinail」のブランド名で2017年にも市場投入される見通しだ。
Nitinailにはエボニックの超耐熱性熱可塑性ポリマー「ベスタキープ」が用いられる。同ポリマーは生体親和性が高く、幅広い分野の医療器具に投入されている。