欧州連合(EU)欧州委員会のビエンコフスカ委員(域内市場・産業担当)は21日、独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス規制逃れをめぐって同社のミュラー社長と会談し、欧州でも不正対象車の所有者に対して米国並みの補償を行うよう求めた。VWは米国で対象車両の所有者に1,000ドルの金銭補償を行うと発表しているが、欧州ではリコール(無料の回収・修理)で対応する方針。VW側は今回の会談後も金銭補償には応じない姿勢を崩しておらず、追加負担を求める欧州委との話し合いは難航が予想される。
VWによると、試験時だけ排ガス浄化機能をフル稼働させる違法ソフトを搭載した不正対象車は世界全体で約1,100万台に上り、このうち欧州分が850万台と米国を大きく上回る。
欧州委の報道官によると、ビエンコフスカ委員は「短くオープンな議論」のなかで、欧州の顧客を米国の顧客と同様に扱うよう、ミュラー社長にくり返し求めたという。しかし、VW側は欧州委との会談後に「ドイツや他の欧州諸国ではすでに問題解決の方法を見出しており、金銭補償を行う考えはない」とコメント。欧州ではリコールで対応可能なため、それ以外の補償は不要との立場を改めて強調した。
米国では米カリフォルニア州大気資源局(CARB)がVWの提案したリコール計画を「不十分」として却下したのに対し、欧州ではドイツ連邦陸運局(KBA)から正式な承認を得ており、VWは月内にリコールを開始する方針を打ち出している。