客観的にみて妥当な根拠がないにもかかわらず雇用主がパートタイム社員をフルタイムの社員よりも不利に取り扱うことは違法な差別に当たる。これは「パートタイムと有期労働契約に関する法律(TzBfG)」4条1項に記されたルールである。では、パート社員の週末の労働時間をフルタイム社員と同じ長さにすることは、同規定違反の不当な差別に当たるのだろうか。この問題をめぐる係争でベルリン・ブランデンブルク州労働裁判所が昨年8月に判決(訴訟番号:26 Sa 2340/14)を下したので、ここで取り上げてみる。
裁判は大病院の検査室に勤務する女性職員が同病院を相手取って起こしたもの。被告病院では検査業務が週7日24時間体制で休みなく行われている。
原告職員は当初、フルタイムで勤務していたが、家族と過ごす時間を増やしたと考え1997年4月から勤務時間を週19.25時間へと半減。パート勤務へと切り替えた。
同病院のフルタイム社員は月に計2日、週末勤務を行う決まりがあり、その勤務時間は1日当たり7.7時間となっていた。原告はパート社員となった後、週末の勤務時間も半減されることを期待していたが、週末の勤務割り当てはフルタイム勤務時と変わりがなかったため、◇月2日ある週末勤務日の労働時間を1日当たり3.85時間に半減する◇週末の1日当たりの勤務時間を7.7時間とするのであれば、週末勤務の日数を月1日に半減する――のどちらかにするよう雇用主に要求。これが受け入れられなかったため提訴した。
原告は一審で敗訴したものの、2審のベルリン・ブランデンブルク州労裁は逆転勝訴を言い渡した。判決理由で同州労裁の裁判官は、TzBfG4条1項のパート差別禁止条項は勤務条件に関わるあらゆる事柄を対象にしていると指摘。原告の勤務時間がフルタイム社員の半分であるにも関わらず、私生活で重要な意味を持つ週末の勤務時間をフルタイム社員と同じ長さにすることは違法な差別に当たるとの判断を示した。
最高裁への上告は認めなかった。