ドイツテレコム―米国事業がけん引―

電気通信大手のドイツテレコム(ボン)が2月25日発表した2015年12月期決算の売上高は前期比10.5%増の692億2,800万ユーロと2ケタ台の伸びを記録した。ユーロ安がプラスに働いたほか、米国の移動通信子会社TモバイルUSが好調で全体が押し上げられた格好。営業利益(EBITDA、調整済み)は13.3%増の199億800万ユーロ、純利益は11.3%増の32億5,400万ユーロだった。

ドイツテレコムは2011年、経営不振のTモバイルUS(当時TモバイルUSA)をAT&Tに売却することで合意したものの、市場の寡占が進むことを警戒する米当局の承認を得られずとん挫。自力再建に切り替えた。価格攻勢と通信網の拡充、周波数帯の獲得を通して顧客数を伸ばし続けており、昨年は競合スプリントを抜いて同市場3位に浮上した。こうした状況を受け、TモバイルUSから将来的に資本を引き揚げる当初の計画は立ち消えとなっている。

22日には蘭移動通信事業の売却計画についても棚上げにし、自力再建することを明らかにした。売却価格で折り合いがつかないため。ドイツテレコムは欧州で、移動通信、固定網通信、テレビを一手に提供する戦略を推進していることから、事業分野が移動通信に限られているオランダ市場から撤退する考えだった。

上部へスクロール