ドイツのガブリエル経済相は14日、国際情報通信技術見本市「CeBIT」の開幕式で講演し、高速の光ファイバー通信網を2025年までに国内に張り巡らせる考えを明らかにした。「モノのインターネット(IoT)」が今後本格化すると、これまでの次元を超えた大量のデータがリアルタイムでやり取りされるようになることから、それに対応できる通信インフラを構築。産業競争力を高める狙いだ。欧州連合(EU)欧州委員会のエッティンガー委員(デジタル経済・社会担当)も次世代移動通信システム(5G)を20年までに導入する考えを表明しており、欧州経済・社会のデジタル化は一段と進むことになる。
ドイツ政府は現在、国内の通信速度を18年までに最低でも50メガビット/秒(Mbps)へと引き上げる政策を推し進めている。同政策が実現していない現時点で通信速度がその20倍(1ギガビット/秒)の光通信網構築を計画するのは、IoTの本格化が視野に入ってきたためだ。独産業連盟(BDI)のグリロ会長は、現在のドイツの通信速度は遅く国際競争の上で問題があると述べ、光通信網構築計画に歓迎の意を示した。
全国的な光通信網の構築に必要な投資額は最大1,000億ユーロに上る。経済省によると、全人口の4分の3が居住する都市部では補助金を支給しなくても同通信網が敷設される見通し。一方、人口希薄地域では採算が取れないため、同省は総額100億ユーロの投資基金を設立し助成金を交付していく考えだ。同基金の資金は周波数帯の次期割り当て入札などで確保する方向。