欧州中銀が追加和決定、政策金利は0%に

欧州中央銀行(ECB)は10日の定例政策理事会で追加金融緩和を決めた。ユーロ圏のインフレ率が2月にマイナスとなるなどデフレ懸念が一段と高まっているためで、国債などを買い取る量的緩和を拡充するほか、民間金融機関が余った資金をECBに預け入れる際の金利(中銀預金金利)のマイナス幅を拡大。また、主要政策金利を従来の0.05%から0%に引き下げるとともに、民間銀行にマイナス金利で長期資金を供給する。政策金利の引き下げは14年9月以来。

量的緩和では国債などの買い取り規模を月600億ユーロから800億ユーロへと拡大し、新たに社債も買い入れ対象に加える。また、中銀預金金利のマイナス幅を0.3%から0.4%に拡大。さらに、新たな長期資金供給オペ(LTRO)を開始し、民間銀行に低利の長期資金を供給する。

新たなLTROの実施期間は16年6月~17年3月。民間銀行に期間4年の資金を政策金利と同水準の低利(現行0%)で供給する。同金利は企業などへの融資を増やした銀行に対しては引き下げられ、最低で中銀預金金利と同水準になるため、政策金利が現行水準にとどまれば銀行はマイナス0.4%で長期資金を調達できることになる。借り入れるほど得をする格好だ。

中銀預金金利のマイナス化をめぐっては、預金に“ペナルティー”として手数料を徴収することで、民間銀行に市中への資金供給を促す狙いがあるが、銀行の収益悪化を招くという副作用も懸念されている。銀行にマイナス金利で長期資金を供給するという異例の措置には、その悪影響を相殺したいという意図もあるもようだ。ドラギ総裁は理事会後の記者会見で、預金金利のさらなるマイナス幅拡大を控える意向を表明した。

上部へスクロール