農業化学大手の米モンサントが独バイエルの種子・農薬部門バイエル・クロップ・サイエンスの買収などに向けて動いているもようだ。ロイター通信が消息筋の情報として18日報じたもので、すでにバイエル側と接触。4月に次回会合を予定しているという。両社は報道内容へのコメントを控えている。
ロイターによると、モンサントはバイエル・クロップ・サイエンスの買収だけでなく、合弁会社設立や提携も視野に入れている。買収の場合は取引金額が300億ドルを超える可能性がある。バイエル・クロップ・サイエンスの2015年の売上高は前年比9.2%増の104億ユーロで、営業利益(EBITDA、特別費計上前)は2.4%増の24億1,600万ユーロだった。
農業化学市場では新興国通貨と農産物価格の下落を背景とする農家の資金力低下を受けて需要が減少。状況改善の見通しは立っておらず、業界再編の機運が高まっている。米化学大手ダウ・ケミカルとデュポンは昨年12月、合併したうえで素材、特殊製品、農業化学の3分野に分社化することで合意しており、農業化学の新会社は売上高でモンサントやシンジェンタ(スイス)を抜いて最大手に浮上する見通しだ。
モンサントは昨年、シンジェンタ買収を目指して失敗した。シンジェンタは今年2月、中国の大手化学メーカー中国化工集団(ケムチャイナ)の買収提案受け入れを表明しており、モンサントは業界再編の動きから取り残されている。