車に近づいただけでドアの施錠が自動的に解除されるスマートエントリー機能はセキュリティが脆弱であることが、全ドイツ自動車クラブ(ADAC)が実施した試験で明らかになった。スマートエントリー機能搭載車の盗難が相次いでいることから、ADACは試験を実施した。
国内外のブランドの計24モデル(そのうち8モデルは日本車)を対象に技術者が試験を実施したところ、全てのモデルで不正なドア施錠解除とエンジン始動を簡単に行うことができた。
手法は◇2人組の犯人(試験では技術者)が犯行に用いる通信機器を2台作成する◇犯人の1人(A)が自動車の持ち主のポケットや自宅内にあるスマートエントリーキーの電波到達圏内(数メートル)に入り同キーが発する電波を傍受◇Aは傍受した電波を標的車両の近くにいる相棒(B)に転送する◇BはAから受信した電波で車の施錠を解除し、エンジンをスタートさせて逃走する――というもの。AからBへの転送は両者の距離が数百メートル離れていても問題なく行える。犯行用の通信機器は市販の電子部品を用いて低コストで作製できるという。
犯人は通常、盗んだ車両で国外に逃走。現地で新しいキーを作製して闇市場で車両を販売する。