アップル―EV開発で独サプライヤーと提携模索か―

IT大手の米アップルが極秘開発中とされる電気自動車(EV)「iカー」の実現に向けてボッシュやコンチネンタルといったドイツの有力サプライヤーに協力を要請しているとの観測が浮上している。経済紙『ハンデルスブラット(HB)』が製造業界内の情報として21日報じたもので、独高級車大手BMWとダイムラーに協力を断られたため、センサーやステレオカメラ、軽量化素材などを手がけるサプライヤーに提携先候補を切り替えたという。アップルをめぐっては独企業から優秀な人材を引き抜いてベルリンでiカーの開発を進めているとの観測もあり、ドイツは同開発プロジェクトで重要な役割を担っているもようだ。

アップルがEVを開発しているとの観測は昨年、浮上した。自動車分野の人材を他社から大量に引き抜いていることが背景にある。同社はコメントを控えているものの、自動車分野への進出を狙っているとの報道は後を絶たない。

HB紙によると、アップルはiカーの実現に向けてまずBMW、次にダイムラーに協力を打診したが、両社ともそれぞれ受け入れを拒否した。アップルは同プロジェクトで主導権を握ることを前提としているうえ、走行中の車両から得られるデータの取り扱いをめぐっても立場の相違が埋まらなかったためだ。アップルがそうしたデータの積極活用を考えているのに対し、BMWとダイムラーは、そうしたデータはプライベートなものでありアップルが想定しているような利用を行えば顧客の信頼が失われると懸念している。

アップルはこれを受けて、受託自動車製造のマグナに協力を要請。それと並行してドイツのサプライヤーと協議している。

ボッシュとコンチネンタルは自動車事業への参入を計画するグーグルやアップルとの提携に前向きで、ボッシュはすでにグーグルの自動走行車向けにセンサーとモーターを供給した。米IT大手との提携は事業の拡大につながるうえ、従来型自動車メーカーへの依存度が低下する効果も期待できる。

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