独取引所とロンドン証取の合併、株主決定は英のEU離脱投票後に

ドイツ取引所とロンドン証券取引所グループ(LSEG)は18日、両社の合併計画の是非をめぐる株主の決定を7月に行うことを明らかにした。英国で6月23日に行われる欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の是非を問う国民投票の結果を踏まえて株主が判断できるように配慮した。両社の首脳陣は当初、同国民投票の実施前に合併計画への株主の同意を取り付ける考えだったが、ドイツ国内に強い批判があることから変更を余儀なくされた格好だ。

両社は合併計画に関する株主向けの書類を6月に公開。LSEGは英国法の規定に基づき7月に臨時株主総会を開き合併の是非を決議する。一方、ドイツ取引所では株主総会が行われず、株主は合併受け入れの意志を7月の期限(未定)までに表明する。両社とも株主の75%以上の賛成を合併の成立条件としている。

両社は3月に合併合意した。両社の株主と当局の承認を経て合併が実現すると、売上高で世界最大の取引所グループが誕生する。

同合意ではグループ全体を統括する持ち株会社をロンドンに設立し、ドイツ取引所とLSEをその傘下の中間持株会社とすることがを取り決めた。グループ統括会社をロンドンに設置するのは税制上の理由からだと説明している。

ドイツ国内にはこの措置について同国の金融競争力や雇用に悪影響が出るとの懸念がある。また、英国がEUから離脱するとロンドンの金融競争力が低下する可能性が高いことから、ブレグジット国民投票前に株主に合併の決定を強いることには批判があった。

貯蓄銀行の頂点団体であるDSGVのゲオルク・ファーレンショーン会長は『ハンデルスブラット』紙に「ユーロ圏のための取引所(の本社)がユーロ圏にないこと、そして最悪の場合EU内にすらないことはおよそ考えられない」と述べ、合併後の新会社の本社がドイツでなく英国に設置されることを強く批判した。

最新の英世論調査ではEU残留支持派が増加し、離脱派を上回っている。ドイツ取引所のカルステン・ケンゲーター社長はこれを踏まえ、ブレグジットはあり得ないと強調。英国はEUにとどまり合併計画に支障は出ないとの見方を示した。

国民投票でEU離脱が決議された場合、両社は共同委員会を設置してブレグジットが合併計画に及ぼす影響を検討。提案を行う。検討対象には新会社の本社所在地も含まれる。

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