保養休暇は有給休暇扱いが妥当か

予防医療ないしリハビリのための休暇を有給休暇に算入してはならない。これは有給休暇法(BUrlG)10条に記されたルールである。では、健康保険組合から補助金を受けて被用者が保養休暇を取る場合、この休暇を有給休暇扱いとすることは不当なのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が5月25日に判決(訴訟番号:5 AZR 298/15)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判はニーダーザクセン州に料理人として雇われている被用者が同州を相手取って起こしたもの。同被用者は公的健保組合AOKニーダーザクセンから補助金を受けて、2013年10月4日から24日にかけて北海のランゲオーグ島で保養した。現地ではクア・ウエルネスセンターに滞在して温海水浴や運動浴を行ったり、マッサージ、泥パックなどの措置を受けた。また、海岸で毎日、海気浴を行った。

休暇取得に当たっては有給での勤務免除(Freistellung)を申請したものの、却下されたため、有給休暇(Urlaub)を取得。休暇から帰ってきた後、有給休暇の取得を強いられたのは不当だとして提訴した。有給での勤務免除への切り替えを要求した。

1審と2審は原告の訴えを棄却。最終審のBAGも下級審判決を支持した。判決理由でBAGの裁判官は、病気で就労不能な状態にない被用者(原告はこれに該当)が有給で勤務を免除されるのは、「祝日および病欠時の給与支払いに関する法律(EntgFG)」9条1項第1文の規定により、社会保険機関が承認した施術・措置が社会法典(SGB)第5編107条で定義された予防医療・リハビリ施設で行われる場合に限られると指摘。原告が利用したクア・ウエルネスセンターはSGB第5編107条の施設に当たらないとの判断を示した。

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