10億ユーロのケタ台の巨額余剰資金を中央銀行に預金せず自行の金庫に保管することを、独銀2位のコメルツ銀行が検討しているもようだ。消息4人から得た情報としてロイター通信が8日、報じた。巨額の余剰資金を自ら保管する大手銀行はこれまでのところ欧州に存在しない。同行の広報担当者は「現在そうしたことを行っていない」と回答したものの、自行の金庫での保管を検討しているかどうかについては発言しなかった。
背景には市中銀行が余った資金を中銀に預け入れる際の金利(中銀預金金利)を欧州中央銀行(ECB)がマイナスに設定していることがある。
ECBは2014年6月、低インフレ打開策の一環として中銀預金金利をマイナスとする政策を開始した。マイナス金利幅は当初0.1%だったが、効果が十分でないためその後、拡大。3月にはそれまでの0.3%から0.4%へと引き上げた。中銀に預ける額が大きくなればなるほど市中銀行は痛手が膨らむことになる。
ロイター通信によると、20億ユーロを200ユーロ紙幣で集めると、重量は約11トンに達する。これを自行の金庫で保管した方が中銀に預け入れるよりも低コストになるかどうかは、輸送・保管コストに保険料を合わせた額がどの程度になるかにかかっている。貯蓄銀行(Sparkasse)の上部団体である独貯蓄銀行・振替銀行連合会(DSGV)のゲオルク・ファーレンショーン会長は3月の時点で、マイナス金利幅0.4%ではペイしないとの見方を示している。
コメ銀はECBのマイナス金利の顧客転嫁をすでに行っている。それでも痛手が十分に緩和されないため、自らの手で保管することを検討しているとみられる。