フォイト―クーカ株売却か、美的のTOBで―

独ロボット大手クーカの筆頭株主である機械大手フォイト(ハイデンハイム・アン・デア・ブレンツ)はクーカに対する中国・美的集団の株式公開買い付け(TOB)に応じるもようだ。経済誌『マネージャー・マガチン』が社内情報として23日報じた。フォイトの広報担当者はメディアの問い合わせに「現時点ではコメントを差し控えたい。適切な時期に美的集団の提案に対し立場を表明する」と回答。報道内容を否定しなかった。

クーカはドイツが官民挙げて取り組む「インダストリー4.0」の中核企業の1つと目されており、現在はフォイトが25.1%、美的集団が13.5%、独複合企業ローグループのオーナー兼会長であるフリードヘルム・ロー氏が10%をそれぞれ出資している。3者とも戦略投資との位置付けだ。

美的集団はTOB方針を5月18日に表明し、今月16日に正式発表した。クーカの1株につき現金115ユーロを支払う考え。これは美的集団がクーカへの出資比率を10.2%に引き上げたことを公表した日の前日(2月3日)終値を59.6%上回る水準で、買収方針表明前日(5月17日)の終値に比べても36.2%高い。出資比率を30%超に引き上げることを目指している。買い付け期間は6月16日~7月15日の1カ月。

マネージャー・マガチン誌によると、フォイトは15日の出資者集会で美的集団のTOBに応じることを決議した。美的集団に次ぐ第2位株主としてクーカに今後も出資を続けることは戦略的にも財務的にも意味がないと判断したという。

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