高速鉄道で無線LANが不要に、シーメンスが特殊ガラス開発

高速鉄道内で無線LANなしに移動通信端末を利用できる技術を、電機大手の独シーメンスが開発した。断熱・紫外線カットガラスに特殊加工を加えることで特定の周波数帯の電波がガラスを通過できるようにした。

高速鉄道車両の窓には断熱・紫外線カットガラスが使われている。同ガラスには特殊金属膜がコーティングされこれが電波を妨害することから、高速鉄道にはアンテナが設置され、乗客が無線LANなどで通信できるようにしている。ドイツ鉄道(DB)は現在、無料無線LANサービスを1等車で実施。年末までに2等車にも拡大する予定だ。

シーメンスはガラスの特殊金属膜にレーザー加工を加えることで、移動通信に用いる周波数帯の電波がガラスを通過する技術を確立した。広報担当者は『ヴェルト』紙の問い合わせに、複数の企業の協力を受けて開発したことを明らかにした。協力した企業の社名は伏せている。

シーメンスが開発した同ガラス窓(高周波窓)は独西部のラインルール・エクスプレス(RRX)路線向けに同社が納入する車両に採用される。RRXは2018年末に通常運転を開始する予定。

シーメンスによると、高周波窓は従来品より価格が高いものの、保守を数十年間、行う必要がないため、長期的には無線LANよりコストが低いという。

高周波窓は既存の車両にも簡単に取り付けることができる。ただ、DBはアンテナ・無線LAN方式をすでに採用しており、高周波窓に乗り換える計画はないとしている。

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