自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)は28日、VWグループのディーゼル車の排ガスを不正操作していた問題で、米国の所有者および当局と和解したと発表した。VWは総額150億ドル強を支払うことになる。
VWは不正車両およそ47万5,000台の修理、買い戻しおよび補償に総額100億ドル強を充てる。また、VW車が規制値を大幅に上回る窒素酸化物を長年、排出してきたことへの補償として環境保護基金に27億ドルを払い込むとともに、ゼロエミッション車の利用促進に20億ドルを投じる。VWはこのほか、米国の計44州に6億300万ドルを支払う。
VWは排ガス不正問題に絡んでこれまでに引当金162億ユーロ(約180億ドル)を計上した。今回の和解で引当金を積み増すことはないとしている。ただ、同社は株主や社債保有者から提訴されるなど、他にもリスク要因を抱えていることから、将来的に積み増す可能性を排除していない。
欧州では不正車両の総数が850万台に上るものの、同社は米国と違って補償金を支払わない意向を示している。ただ、欧州連合(EU)欧州委員会のエルジビエタ・ビェンコフスカ委員(域内市場・産業・起業・中小企業担当)はこれを不公平だと批判し欧州でも支払うよう要求。同地でもVWへの圧力が高まっている。