事業所委の業務で外出、雇用主への報告義務はあるか

事業規模が大きい企業では、従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の一部の委員は通常業務を免除される。免除対象となる委員の数は企業の雇用規模によって異なり、200~500人では1人、501~900人では2人となっている。これは事業所体制法(BetrVG)38条1項に記されたルールである。

では事業所委の仕事の一環で勤務時間中に外出する場合、通常業務免除の事業所委員は雇用主に外出や帰着などの報告を行わなくてもよいのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2月に決定(訴訟番号:7 ABR 20/14)を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は、事業所委の用事で勤務時間中に外出する際は役員にその旨を文書で伝えるとともに行先と予想所要時間を知らせ、帰着時にも報告するよう命じた経営陣の措置を不服として、事業所委員会が起こしたもの。

同社では通常業務免除の事業所委員が2012年3月1日に同委の仕事で弁護士を訪問しようとしたところ、訪問の具体的な理由が申請書に明記されていないとして雇用主から却下された。雇用主はさらに26日付の文書で、上記の命令を事業所委に伝えた。

この係争でBAGが下した決定は、外出時と帰着時の報告と予想所要時間を伝えることは当該事業所委員の義務だというものだった。決定理由でBAGの裁判官は、BetrVG38条1項で事業所委員が免除されるのは通常業務であり、勤務時間中は事業所内にとどまる義務については免除されていないとの判断を示した。また、外出時と帰着時の報告と予想所要時間を伝える義務は、雇用主と事業所委員会に信頼関係に基づく協働を義務づけたBetrVG2条1項と、契約当事者に対しそれぞれ契約相手の権利や利害を考慮することを義務づけた民法典(BGB)241条2項の規定から発生すると指摘した。事業所委員が何時から何時までの間、不在となるのかを知ることは雇用主の正当な権利だとしている。

一方、行先については雇用主が知っていなければならない情報に当たらないと指摘。この点については原告事業所委の言い分を認めた。

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