英国が6月23日の国民投票で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を決めたことを受けて、ドイツの国内総生産(GDP)予測を引き下げる動きが相次いでいる。英国向けの輸出や企業投資の鈍化が避けられないとみられるためで、マクロ経済・景気研究所(IMK)は29日、来年の成長率を従来予測の1.8%から1.3%に下方修正。貯蓄銀行(Sparkasse)系のファンド会社Dekaバンクも1.4%から1.1%へと引き下げた。
IMKのグスタフ・ホルン所長は、ブレグジットによって経済の先行き不透明感が大幅に高まったと指摘。長い停滞からようやく回復し始めていた企業投資は再び冷え込むとの見方を示した。金融市場の混乱が長引くと成長率が1%を下回り、労働市場にも影響が出る可能性があるとしている。
EU離脱決定を受けて英ポンド相場は大幅に下落した。このため英国向けの輸出は今後大きく減少する見通し。ドイツ経済研究所(DIW)のフェルディナント・フィヒトナー景気分析部長はロイター通信に、独経済は英国向け輸出の悪化を受けて今年下半期にも減速するとの見方を示した。
英国は米国、フランスに次ぐ3番目に大きな輸出先国で、輸出高は昨年およそ900億ユーロに上った。ドイツの輸出総額の7.5%を占める。自動車と製薬業界では輸出に占める英国の割合がそれぞれ12.8%、10.5%と高いことから、ドイツ銀行のアナリストは「(両業界は)最も大きな痛手を受ける」と指摘した。