5月22日に行われたオーストリア大統領選挙の決選投票は開票手続きに不備があったとして右派ポピュリズム政党・自由党(FPOE)が無効確認を求めていた裁判で、同国の憲法裁判所は1日、訴えを認める判断を示した。裁判長は「選挙はわが国の民主主義の根幹だ」と指摘。手続き上の違反は些細にみえるものであっても許容されないとして、決選投票のやり直しを命じた。
オーストリアでは4月に行われた大統領選挙の一次投票で過半数を制する候補者がいなかったため、得票率が最も高かったFPOEのノルベルト・ホーファー候補(35.1%)と2位となった緑の党のアレクサンダー・ファン・デア・ベレン候補(同21.3%)の間で5月に決選投票が実施された。開票結果はファン・デア・ベレン候補が50.3%で、ホーファー候補(49.7%)に3万1,000票の僅差で勝利。次期大統領に選出された。
これに対しFPOEは、計57万3,000枚に上る郵便投票が規定通りの方法で開票されなかったとして憲法裁に提訴。同裁の審理で多くの選挙管理委員が時間不足を理由に投票時間終了前に開票したり、集計係以外の職員が集計作業を行っていたなど手続き違反を認めたため、憲法裁は選挙無効を言い渡した。
ファン・デア・ベレン候補は8日、大統領に就任予定だったが、ホーファー候補と再び選挙で争うことになった。やり直し選挙は10月2日に行われる。