化学大手の独BASF(ルートヴィヒスハーフェン)は9日、北米のリチウムイオン電池正極材事業を戸田工業と合弁化する方向で独占交渉を開始したと発表した。両社は日本で同正極材事業を合弁化しており、協力地域を拡大することになる。戸田工業の久保田正会長は自動車用リチウムイオン電池の需要が昨年から中国、米国、欧州連合(EU)市場で拡大し始め、今後も年率30%超の高成長が見込まれることを指摘。「拡大する市場を勝ち抜くためには安全、コスト、性能、供給、リサイクルの各領域で卓越した能力の保持が必要」だと述べ、BASFとの提携拡大の意義を強調した。
両社は米国とカナダでNCA(ニッケル系正極材)、NCM(三元系正極材)などのさまざまな正極材料と前駆体の製造、開発を共同展開する考え。新設する合弁会社の過半数株をBASFが保持する方向で交渉を進める。