工業ガス世界2位の独リンデ(ミュンヘン)は16日、同3位の米プラクスエアとの合併に向けて交渉している事実を明らかにした。交渉は破談となる可能性もあるものの、合併が実現すれば仏エア・リキードを抜いてダントツの世界最大手となる見通しだ。
両社の業績を見ると、売上高はリンデが180億ユーロで、プラクスエアの96億ユーロを大きく上回るものの、純利益はプラクスエア(14億ユーロ)がリンデ(12億5,000万ユーロ)を上回る。これを反映して時価総額はプラクスエアの方が大きい。メディア報道によると、リンデは対等合併を目指しているものの、プラクスエアがリンデを買収する形で合併する可能性を排除していないという。
リンデは欧州、アジア市場に強く、プラクスエアは南北アメリカ大陸市場に強い。米国市場でもプラクスエアがボンベ入りガスと液化ガス、リンデが医療用ガスに強いなど両社の事業は補完性が高い。
工業ガス業界では価格競争が激しく、エア・リキッドは今春、業界5位(当時)の米エアガスを買収し市場シェアを約25%に拡大。最大手としての地位を強化した。リンデとプラクスエアが合併するとシェアが約40%となり、エア・リキッドを一気に抜き去る見通しだ。