食料備蓄を市民に呼びかけ、「民間防衛構想」を閣議決定へ

ドイツ政府は24日の閣議で内務省作成の「民間防衛構想」を了承し、市民に食料品などの備蓄を呼びかけるもようだ。テロやサイバー攻撃リスクの高まりを受けた措置で、緊急事態の発生後に政府による生活必需品の供給が始まるまでの期間、各世帯が食料、飲料水、燃料、現金を自ら賄えるようにすることが狙い。こうした措置を呼びかけるのは冷戦終了後初めてで、政府が安全保障上のリスクを深刻に受け止めていることがうかがわれる。日曜版『フランクフルター・アルゲマイネ(FAS)』紙が同構想を独自入手して報じた。

備蓄の呼びかけは冷戦下の1989年まで行われていたが、東西対立の終了後は国外から軍事的に攻められるリスクが実質的になくなったため、廃止されていた。だが、2001年9月11日の米同時多発テロ以降、深刻なテロ事件が発生するリスクが高まっており、独連邦議会(下院)の財政委員会は12年、「構想」作成を政府に委託する決議を行った。

計69ページからなる同構想には「通常兵器での防衛が必要となるような攻撃がドイツに対して行われることは考えにくいが、将来的にみて原則的に排除できない、存立を脅かすような状況に適切に準備を行うことは必要だ」との見解が記されている。

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