ブレーキ大手の独クノールブレムゼ(ミュンヘン)は5日、スウェーデンの商用車部品メーカー、ハルデックスを株式公開買い付け(TOB)で買収する考えを明らかにした。ハルデックスに対しては自動車部品大手の独ZFフリードリヒスハーフェンが現在、友好的なTOBを行っており、クノールブレムゼは横やりを入れた格好だ。
クノールブレムゼはハルデックスを1株当たり現金110スウェーデンクローナで買収する計画。ZFは買収提示額が同100クローナであるため、買い付け価格を引き上げないとハルデックス株主の支持を得られない見通しだ。
ZFのTOBは今月30日で終了する。一方、クノールブレムゼは26日頃からTOBを開始する考え。両社ともハルデックス株90%以上の確保をTOBの成立条件としている。クノールブレムゼはハルデックス株をすでに8.4%獲得した。
クノールブレムゼとハルデックスは米・ベルギー資本のワブコと並ぶ商用車用ブレーキの世界3大メーカー。このためクノールブレムゼの今回のTOBには独禁法上の懸念があるものの、同社のクラウス・デラー社長は「我々は極めて楽観している。ハルデックスの経営陣とは数週間前から話し合いを行ってきた。これ(TOB提案)は決して思いつきではなく、入念に準備してきたものだ」と語り、買収の成功に自信を示した。
ハルデックスはクノールブレムゼのTOB提案を検討したうえで意思表明を行うとしている。
ハルデックスに対してはルクセンブルクに本社を置く商用車部品大手のSAFホラントが7月にTOB方針(買い付け価格:1株当たり現金94.42ローナ)を打ち出したが、ZFの対抗TOBを受けて断念した経緯がある。