独銀最大手のドイツ銀行と同2位のコメルツ銀行が過去数週間、合併の可能性を協議したとの観測が浮上している。銀行業界は規制強化や欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策(中銀預金金利)にあえいでいるうえ、デジタル化に向けた巨額な投資も必要となっており、両行はこうした事態の打開策として合併を検討したもようだ。各種メディアが8月31日に報じた。
それによると、両行の頭取は今夏、合併の可能性を打ち解けた雰囲気でオープンに話し合った。最終的にはそれぞれが抱える課題の解決が重要だとの結論に達し、正式な合併協議は行わないことにしたという。
市場は両行の合併を歓迎しており、観測報道を受けて株価はともに上昇した。合併すれば巨額のコストを削減でき収益力が高まるためだ。投資銀行業務の比重を引き下げたいドイツ銀と商業銀行中心のコメ銀は補完性が高いという事情もある。
ドイツ銀のジョン・クライアン頭取は報道内容について、「我々はスモール化・効率化に向けポストバンクなどいくつかの事業から撤退する考えだ」と発言。そうしたなかで競合との合併はあり得ないとの立場を示した。コメ銀のマルティン・チィールケ頭取も、同行が直面する課題を自力で解決する考えを明らかにした。