産業連盟が北京に事務所開設、独企業の言えない苦情を代弁へ

独産業連盟(BDI)は12日、北京で駐在員事務所の開所式を行った。中国の政財界とのパイプを強化するとともに、同国の経済政策に対するドイツ企業の苦情を代弁する考え。こうした事情を反映し、中国側の代表は招待状を送付したにもかかわらず誰も出席しなかった。ドイツからはクリスティアン・ヴォルフ前大統領が参加した。

中国は公開入札から外国系企業を締め出するなど、自国企業を不当に優遇している。また、中国企業は外資買収で不当な制限を受けないのに対し、外資が中国企業を買収しようとすると許可されないことが多い。

中国の家電大手・美的集団が産業ロボット大手の独クーカを株式公開買い付け(TOB)で買収した際は、クーカの顧客であるドイツ企業が自動車メーカーを中心に大きな懸念を抱いた。自社の秘密データが中国サイドに漏えいする恐れがあるためだ。

だが、そうした懸念を実際に表明するドイツ企業は1社もなかった。中国政府の怒りに触れ、同国事業で不利益を被る事態を避けなければならないという事情が背景にある。

BDIはこうした問題を踏まえて、北京に事務所を開設した。在中国欧州連合(EU)商工会議所(北京)のイェルク・ヴットケ所長は、「市場開放を迫る声を上げるのは我々だけではなくなった」と述べ、外資差別の不当性を訴える“仲間”が増えたことに歓迎の意を示した。

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