ライフサイエンス大手の独バイエル(レバークーゼン)は14日、農業化学大手の米モンサントを買収することで両社の経営陣が合意したと発表した。買収総額は最大660億ドル(約590億ユーロ)で、ドイツ企業の外資買収では過去最大となる。バイエルは今後、株式公開買い付け(TOB)を実施。買収手続きは独禁審査を経て来年末までに完了すると予想している。
バイエルはモンサントを1株当たり122ドルで買収する考えを5月に表明したが、拒否されたため7月になって同125ドルへと引き上げた。それでもモンサントが首を縦に振らなかったことから今月6日、モンサント経営陣がTOBを支持すれば127.50ドルに引き上げる考えを表明した。
今回合意した買収額は1株128ドル。バイエルは6日の提示額にさらに上乗せすることで、モンサント側の同意を引き出した。バイエルが買収計画を提示した前日(5月9日)の終値を44%上回る水準だ。
買収が実現すると、バイエルの農業化学部門クロップサイエンスの売上高は104億ユーロから2倍強の230億ユーロ(15年ベース)へと拡大し、ダントツの世界1位メーカーとなる見通し。クロップサイエンスの本社は独モンハイムにとどめるものの、モンサントが強みを持つ種子事業については米セントルイスにあるモンサントの本社を統括拠点とする。シナジー効果は買収後4年目以降、年15億ドルを見込む。
バイエルは規制当局が買収を認めなかった場合、違約金20億ドルを支払うことも明らかにした。7月の時点では同15億ドルを提示しており、5億ドル引き上げた。