企業から独立したメールボックスを事業所委は要求できるか

従業員の社内代表機関である事業所委員会(Betriebsrat)の活動に必要な情報・通信機器は、雇用主が提供しなければならない。これは事業所体制法(BetrVG)40条2項に明記されたルールであり、雇用主はインターネット接続の便宜も提供しなければならない。では、事業所委には自社の管理下にない外部のメールボックスを会社負担で利用する権利もあるのだろうか。この問題をめぐる係争でシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労働裁判所が昨年10月の決定(訴訟番号:5 TaBV 23/15)で判断を下したので、ここで取り上げてみる。

裁判は通信会社の事業所委員会が同社を相手取って起こしたもの。同事業所委は計3拠点の従業員に月に一度ニューズレターを一括送信しようと考え、同社の管理下にないメールボックスの設置を会社側に要求した。

これに対し被告企業が、イントラネット(企業内ネットワーク)のブログを利用すれば済む話しだなどとして受け入れを拒否したため、提訴した。

1審のキール労働裁判所は原告事業所委の訴えを認め、2審のシュレスヴィヒ・ホルシュタイン州労裁も同様の判断を示した。決定理由で同州労裁の裁判官は、事業所委がイントラネットのブログにニューズレターをアップする方式では被用者が自らクリックしてブログのページを開かない限り閲覧できず、同委の最新の通知を読む時期が遅れる可能性があると指摘。また、同社の管理下にあるメールボックスを利用することに関しては、人事部や雇用主が検閲を行う可能性を排除できないと指摘。被告企業から独立したメールボックスの利用を求める同委の要求は妥当だとの判断を示した。

抗告は認めなかった。

上部へスクロール