独航空2位のエア・ベルリンは9月28日、大規模な事業再編計画を発表した。赤字体質から脱却し経営の安定化を図ることが狙いで、ハブ拠点をベルリン、デュッセルドルフ空港に絞り込んだうえでビジネス客向け事業に経営資源を集約。観光客向けの中距離旅客輸送事業は独立した事業部門に統合し戦略的なオプションを検討する。また、保有する機材の約4分の1を競合ルフトハンザにリースして人員削減の規模とリストラ費用を圧縮する。これらの措置により2018年から営業損益を黒字転換させる考えだ。
エア・ベルリンは事業の拡大路線などが響いて経営が悪化。2011年に実施した第3者割当増資で中東系エティハド航空が株式29%を取得し、筆頭株主となった。エア・ベルリンはエティハドの支援を受けて経営再建に取り組んできたものの、成果が上がらないことから、今回の事業再編に踏み切った。
来年の夏シーズンからは出張客の需要が多い欧州の経済都市向けの短・中距離路線と、利益が見込める長距離路線に事業を絞り込む。機材数は75機で、そのうち58機を短・中距離路線、17機を長距離路線に投入する。
観光地向け路線事業を分離するのは、季節によって搭乗率が大きく変動し業績の足かせとなっているため。ビジネス客の需要は年間を通して安定していることから、同分野に特化する。特にイタリア、スカンジナビア、東欧路線を重視していく。
ルフトハンザには機材を最大40機リース。そのうち最大38機は機体、乗務員、整備、保険契約の全てを貸し出すウェット・リースとする。ウェット・リースの期間は来年夏シーズンから6年。空港の離発着権は譲渡しない。ルフトハンザから総額12億ユーロ以上の収入を得ると見込んでいる。
ルフトハンザはエア・ベルリンから借り受ける機材を格安航空子会社ユーロウイングスの強化に投入する。
事業再編に伴い従業員を最大1,200人削減する。人員削減は可能な限り自主退社を通して進めたい考えだが、必要に応じて整理解雇も実施する。また、削減対象となる従業員に対してはエティハド・グループでの再就職を斡旋する。