コメルツ銀行―新戦略発表、収益力強化へ―

独銀2位のコメルツ銀行(フランクフルト)は9月30日、新経営戦略「コメルツバンク4.0」を発表した。事業の選別・再編とデジタル化の推進を通して収益力を強化。歴史的な低金利、金融規制の強化、金融とITの融合に伴う事業環境の変化という銀行業界が直面する3つの課題に対応できる体質を構築する。

同行はこれまで、中小・中堅企業(ミッテルシュタント)部門、投資銀行部門、個人顧客部門の3本柱で事業を展開してきた。だが、金融規制の強化で資本市場業務(投資銀行業務の一部)に高いリスクウエイトを設定しなければならなくなり自己資本が圧迫されていることから、そうした業務を大幅に縮小したうえで、投資銀行部門とミッテルシュタント部門を統合。国際事業を展開する企業向けの「企業顧客部門」として仕切り直す。また、これまでミッテルシュタント部門で展開してきた中小企業向け事業と、個人顧客部門を新設の「個人・小事業顧客部門」へと統合する。

コメ銀は組織再編と並行して業務と顧客サービスのデジタル化を推進。サービスの質を高めるとともに、事業効率を大幅に向上させる。デジタル化の投資額は年7億ユーロで、同行は「今後4年でデジタル技術企業へと発展する」と強調している。

これらの措置に伴い、従業員(フルタイム勤務)およそ9,600人を削減する。成長分野では新たに約2,300人を採用するため、実質の人員削減幅は7,300人程度となる。

リストラ費用は約11億ユーロと巨大な額に達する見通し。このため、経営陣は2015年度に8年ぶりに復活させた配当を再び見合わせる考えだ。

組織再編とデジタル化の効果で同行は事業コストを現在の71億ユーロから20年に65億ユーロへと圧縮。厳しい金利環境下でも経費率を66%未満に引き下げられるようにする。また、銀行の危機対応能力の指標である有形株主資本純利益率(RoTE)を20年末までに6%以上へと引き上げる。狭義の中核自己資本比率(CET1比率)については15年の12.0%から20年に13%超へと上昇させる目標だ。

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