発泡スチロールの処分が困難に、他のごみとの混合焼却禁止で

10月1日付で施行された改正廃棄物法に対しゴミ処理業界や建設業界が大きな不安を抱いている。発泡スチロールの焼却処分のハードルが引き上げられたためだ。焼却を引き受ける廃棄物処理業者はほとんどなく、関連業界は改正法の撤回ないし施行延期を求めている。

断熱材などに用いられる発泡スチロールは燃えやすいという難点があることから、これまで臭素系難燃剤のヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)が幅広く添加されてきた。だが、HBCDに内分泌かく乱作用があることが判明したため、ストックホルム条約で「残留性有機汚染物質(POPs)」に指定された。

州政府の代表で構成される連邦参議院(上院)はこれを受けて廃棄物法を改正。発泡スチロールを他のごみと一緒に焼却することが禁じられ、単独での分別焼却が義務化された。埋め立て処分と輸出は禁止されている。

改正法では発泡スチロールを焼却するために特別な許可を取らなければならないというハードルも設定された。許可を得るためには焼却施設の周辺住民の同意を得なければならない可能性もあり、廃棄物処理事業者は大きな手間ひまをかけなければならない。このため、多くの廃棄物事業者は発泡スチロールの引き取りを拒否するとみられる。

建造物の建て替えに際しては断熱材として利用されてきた発泡スチロールを大量に処分しなければならない。それにもかかわらず廃棄物業者が引き取りを拒否すれば、発泡スチロールゴミは行き場を失うことになる。

断熱材業界団体ハルトシャウム(Hartschaum)によると、ドイツでは2014年末までにHBCDが使用されなくなったという。

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