欧州中央銀行(ECB)の低金利政策は銀行だけでなく、保険業界にも大きなしわ寄せをもたらしている。低金利の長期化で保険料収入の運用環境が悪化しているためで、独民間健康保険連盟(PKV)は9月30日、民間健保の保険料引き上げが避けられなくなっているとの声明を発表した。
ドイツでは民間健保の被保険者が900万人弱に上る(公的健保は約7,100万人)。『フランクフルター・アルゲマイネ』紙によると、来年はその3分の2に当たる600万人で保険料が平均11%程度引き上げられる見通しという。
野党・緑の党の医療政策担当者は、民間健保の事業モデルは金融市場に強く依存しており、危機の影響を受けやすいと指摘。低金利で保険料が大幅に値上げされれば、年金生活者や自営業者のなかには支払うことができなくなる人も出てくるとして、民間健保を廃止し公的健保に統合すべきだとの考えを示した。