現実に近い燃費・排ガス値をVWが採用へ

自動車大手の独フォルクスワーゲン(VW)はこれまでよりも現実の走行環境に近い条件で燃費と二酸化炭素(CO2)の排出量を算出する計画だ。昨年秋に発覚したディーゼル車排ガス不正問題で傷ついたブランドイメージを刷新することが狙いで、カタログ上の数値は悪化することになる。『南ドイツ新聞(SZ)』と公共放送NDR、WDRが共同取材をもとに報じた。

VWは台上試験での燃費・CO2の測定に際してこれまで、できるだけ良好な数値を得るために装備、バッテリー、ブレーキ、タイヤで“グレーゾーンのトリック”を行ってきた。また運転手は現実にはあり得ない方法で走行してきた。さらに、テストで得られた数値を合法的に一律4%引き下げてきた。

今後はテスト数値からの引き下げ幅を最大2%に縮小するほか、運転手には現実に近い方法で走行させる。測定時にカーエアコンを取り外すことも止める。この結果、VWブランド車のCO2排出値はこれまでよりも平均2グラム(走行1キロメートル当たり)増加することになる。

欧州連合(EU)では新車のCO2排出量を 2021年以降、95グラム以下に削減することが自動車メーカーに義務づけられる。違反したメーカーには1台につき1グラム=95ユーロの制裁金が課される。仮にVWが同許容値を平均2グラム上回った場合、同社は年6億4,600万ユーロの制裁金〔(95×2)×340万台〕を科されることになる。

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