ファルタ―IPOへ、買収資金など調達―

スイスの複合企業モンタナ・テック・コンポーネンツは3日、独電池製造子会社ファルタ(エルヴァンゲン)の新規株式公開(IPO)計画を発表した。公開益を買収などに充てる考え。年内にもフランクフルト証券取引所の「プライム・スタンダード」で市場デビューを果たす考えだ。

ファルタは1887年創業の老舗企業。2002年にオーナー(当時)のクヴァント家(BMWの大株主)が自動車バッテリー事業を米ジョンソン・コントロールズ、家庭用電池事業を米レイオバック(現スペクトラム・ブランズ)にそれぞれ売却した。モンタナはマイクロバッテリー事業を06年に取得し、11年にはファルタも買収した。

ファルタは現在、補聴器などに用いるマイクロバッテリーの製造子会社ファルタ・マイクロバッテリーと、太陽電池用蓄電池を手がける子会社ファルタ・ストレージの2社を傘下に持つ。従業員数は2,000人。昨年は売上高が1億9,510万ユーロ、営業利益(EBITDA)が3,100万ユーロで、売上高営業利益率は15.9%に上った。

新株を発行して市場資金2億ユーロを調達する。調達した資金のうち1億5,000万ユーロは再生可能エネルギー用蓄電池分野の買収に充てる方針で、すでに買収先候補と協議を行っている。同分野で世界の主導的なメーカーとなる目標だ。市場調達資金の残り5,000万ユーロは欧州での工場建設に投じる。

ファルタは自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)と共同でEモビリティの研究開発を手がける合弁会社を運営。墺グラーツ工科大学とは材料の共同研究を行っている。

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