アイルランドの格安航空(LCC)大手ライアンエアは2日、フランクフルト国際空港発着便を来年3月から運行すると発表した。これまでは同空港から100キロ離れたアクセスが不便なフランクフルト・ハーン空港を利用してきたが、フランクフルト国際空港運営会社のフラポートが便宜を約束したことから、利用を決定した。同空港をハブとして利用する独航空最大手のルフトハンザは同様の便宜を図るようフラポートに要求する考えだ。
ライアンエアはフランクフルト国際空港にボーイング737-800型機2機を駐機し、スペインとポルトガル向けの便を運行する。具体的にはパルマ・デ・マヨルカ、アリカンテ、マラガ(以上スペイン)、ファロ(ポルトガル)向けのフライトを計画している。
メディア報道によると、フラポートは同社に少なくとも15%の空港利用料金割引と、着陸から再離陸までの時間を35分に短縮することを確約したという。
フラポートはライアンエアの獲得により、ルフトハンザへの依存度を引き下げる狙い。ルフトハンザは同空港の利用シェア(乗客数ベース)で60%を占めている。
フラポートのシュテファン・シュルツ社長はライアンエアの割引率を伏せつつも、新規の航空会社を獲得する際にドイツの空港が通常、与えるインセンティブだと発言。ライアンエアを特別に優遇したわけではないとの立場を示した。
一方、ルフトハンザのカルステン・シュポール社長はライアンエアに対するフラポートの優遇措置を踏まえ、対等の割引をルフトハンザにも適用することを要求すると明言した。また、フランクフルト国際空港を2018年からLCC子会社ユーロウイングスのハブとし、ライアンエアに対抗していく考えを示した。ミュンヘン空港についてもユーロウイングスのハブとすることを検討する。
これまではフランクフルトとミュンヘンをルフトハンザ本体のハブ空港とし、それ以外の空港をユーロウイングスのハブとする方針を取ってきた。