化学・製薬業界に危機感、研究開発費の税優遇など要求

独化学工業会(VCI)は14日、同国の化学・製薬産業を支援するために政府は研究開発費の税優遇措置などを導入すべきだと要求した。世界的に競争が厳しさを増していることを受けたもので、技術革新を促進する体制の構築が必要だとしている。

独化学・製薬業界の研究開発(R&D)費は昨年105億ユーロ(予算ベース)で、前年に比べ4%増加した(グラフ参照)。売上高の5.6%をR&Dに投じた計算だ(R&D費の対売上比率は製薬業界で13%、化学業界で3%)。

世界全体の化学・製薬業界のR&D費に占めるドイツの割合は6.8%で、米国(約35%)、日本(16.5%)、中国(10.2%)に次ぐ4位だった。中国はR&D費を急速に伸ばしており、2013年にドイツを抜いて3位に浮上。その後はドイツとの差を急速に広げている。

VCIは技術の質の面で優位を保ち続けるためには画期的な技術が生まれやすい土壌を作ることが必要不可欠だと指摘。研究開発費やベンチャーキャピタルの税優遇、企業と大学・研究機関が提携する際の事務手続きの簡素化などを要求した。

VCIの予測によると、独業界のR&D費は2030年までに約165億ユーロへと拡大する。特殊化学と製薬が全体をけん引。基礎化学は横ばいにとどまる。

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