病休開けの勤務についての話し合いで最高裁判決

労働契約や社内・労使協定、法律に特別な規定がない限り雇用主は被用者の勤務の内容、場所、時間を「公正な裁量(billiges Ermessen)」に従って決定できる。これは営業令(GewO)106条第1文に記されたルールである。では、雇用主は病休中の被用者に対し、病休明けの勤務について検討するための話し合いに出席することを命令できるのだろうか。この問題をめぐる係争で最高裁の連邦労働裁判所(BAG)が2日の判決(訴訟番号:10 AZR 596/15)で判断を示したので、ここで取り上げてみる。

裁判は病院の看護師が同病院を相手取って起こしたもの。同看護師は事故で長期病休したのち、医療記録助手として勤務を再開したが、2013年11月末から14年2月半ばにかけて再び病気休業した。

被告病院はこれを受け、病休明けの勤務について検討するための話し合いを1月6日に行いたいとする文書を12月18日付で原告に送付した。原告はこれに対し、医師の労働不能証明書(通称ゲルベシャイン)を根拠に話し合いへの参加を拒否した。

病院側は話し合いを2月11日に行いたいと改めて文書を送付したが、原告が話し合いの場に現れなかったため、18日付の文書で警告処分を通告した。

原告はこれを不当として、同処分の取り消しを求める裁判を起こした。

1審と2審は原告勝訴を言い渡し、最終審のBAGも同様の判断を示した。判決理由でBAGの裁判官は、病休中の被用者には話し合いに出席する義務が基本的にないとしたうえで、◇被用者が(勤務はできないものの)話し合いには参加できる状態にある◇被用者が話し合いに出席しなければならない正当な理由を雇用主が提示する――の2条件を満たしていれば、適切な時間の範囲内で雇用主が被用者と協議することは禁じられていないと指摘。被告病院は原告の出席が必要不可欠である理由を提示しなかったとして、原告に出席義務はなかったとの判断を示した。

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