フォルクスワーゲン(VW)の高級車子会社アウディは7日、道路の信号情報を運転手に送信するサービスを米国で開始すると発表した。将来の自動運転実現をにらんだ取り組みで、カーエレクトロニクス分野のプレ開発責任者は「わが社の車両は初めて、交通インフラとリアルタイムでデータを交換するようになる」と強調した。まずはラスベガスで同サービスを提供する。欧州にも導入する考えだ。
「タイム・トゥ・グリーン」と命名された同サービスでは、次の信号を停車することなしに制限速度内で通過できるかをヘッドアップディスプレーなどで運転手に通知。通過できない場合は青信号に変わるまでの時間をカウントダウン方式で表示する。
パイロットプロジェクトでは、信号での停止を余儀なくされる車両の数が約20%減少しており、燃費向上につながることが確認された。運転手の緊張が和らぐ効果もある。
信号情報データは自動車業界向け情報プロバイダーのトラフィック・テクノロジー・サービシズ(TTS)が米国各地の都市交通センターから収集したものを加工してリアルタイムでアウディ車に送信する。
同サービスに対応しているのは6月以降に生産された中型車「A4」とSUV「Q7」の米国仕様モデル。アウディは今後、対応車種を拡大していく。
欧州でもすでに複数の都市でパイロットプロジェクトを実施しており、ベルリンでは約700カ所の信号を通信網に組み込んだ。ただ、欧州の交通データは標準化されておらず地域によって異なることから、同社はデータ形式を統一したうえで信号情報を提供していく考えだ。